しかし嬉しいな。米海軍機はやっぱタミヤの方がメーカーの愛情を感じるからな(ただしファントムⅡを除く-笑-)。
幸いかな、こうなると10年くらい前、一念発起してRevellの1/32を作っておいて良かったよ(記事を見る)。あれはあれでナイスなキットだった。今じゃお勧めいたしかねるけど…。
これで(既発表済みの)ハセガワ1/32紫電改と…2013年は海軍屋には良い年になりそうです。 それにしてもコルセアのプラモは恵まれたもんだ、これで粗全てのスケールで傑作キットが揃うことになる。トムキャットもあやかって欲しいものだ…。
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はてさて、何だかんだと言ってるうちに2013年も1/3を消化しつつあります。今だ完成品はファントムⅡ一機では年間3機ペースじゃん…ということで間に合わせましたよシーキン(笑)。
製作記では文句タラタラだったけど、終わってしまえば最新の金型技術のおかげでカッチリと引き締まったモデルにはなります。インチキキットだけど。
完成を振り返る前に、予告した最後の工程での大チョンボトラップの説明をしておきましょう。
←キットのデカールだが、カルト製であることだけが唯一の長所で、海軍機用のそれとしては致命的な欠陥があるのです。何?『トライデンツのエンブレムの件はもう触れたじゃん?』ですって、そんなのは単なる予告編に過ぎませんよ、氷山の一角ですよ。
見て気がつかない?まぁそういう向きはモトモト拘りが無いんだろうからそのまま使っても良いでしょう(爆)。
判らないかい?レターが全て『空軍』になってるじゃないか(原爆)。
モデックス、BuNo、SqID、搭載母艦名…そのすべてがコーナ45°、インサイドコーナカットありの『空軍レター』になってるんですよ!こんなもんは、インチキ通り越して海軍機マニアへの宣戦布告文書に等しいものです。ふざけんなよ!コーナカット45°だけなら、『まぁしょうがねェか…』で済ますが、ご丁寧にインサイドまでという、明後日の方向への手の込んだ仕事っプリですよ…。誰が元版描いたんだ?呼んで来い!小一時間説教してやるから(笑)。ったく、ドラゴンもダメだろう…、こんなの基本留意事項じゃん…。お客さんが銀行や官庁だったら出入り禁止になるOutputだよ。もう飛行機やらなくて良いよ…戦車だけ作ってなさい。プラッツも『ウチは単なる商社ですから』って顔して知らんぷりなんだから、メーカーが頑張って品質上げなきゃしょうがないでしょうに…。これだから玩具業界で一流はいつまでたってもバンダイとタミヤだけって言われるんですよ。
(閑話休題)
で、こんなクソレター使うわけには行かないので、手持ちのスケールマスター製海軍レターセットで95%を置換。最大の問題だった空母名は、大きさが一致するものがなかなか無かったのだが、CAMのレターセットから近似値サイズのものを引っ張ってきた。スケールマスターとCAMには脚向けて寝られません。おまけにナショナルスターも大きさと「袖と丸の比率」が妙なのでマイクロで置換です。
このキットで褒めて良い点は無いわけではないですが、考証不足ってか『やる気無いだろう?お前ら』感は多分生まれてこの方個人的には最大級です。そりゃこのキットがA-Model製ってなら笑顔で褒めてあげるけど、天下のドラゴンだろう?創業者がタミヤ俊作会長をリスペクトしてるくらいの熱意の人なメーカーにそれはありません。ふざけてます。
まぁ、素のキットがこんなトラップ満載ですから、気付かずにそのまま使っちゃった人はご愁傷様ですけど、良い勉強になったと諦めるべき?。
最後に詰めた細部工作は自作のワイパーとサイドミラー、あと用途不明だが左舷機首部にある「舫いロープ」の取付。飛行機に『舫い』ってのもアレだが、これは多分駐機時にローターカバーとリンクする紐を固定させるためにあるようだ。細か過ぎるといわれそうだが、意外と目立つよね?
前にも触れましたが、シーキンは大きく分けてシコルスキー、ウェストランド、三菱重工と3ブランド製に分かれます。機体外形が同じ…というだけで、工業製品としては全く別物と解釈すべきでしょう(ってか僕はそう思っています)。
プラモだからしょうがないにしても、大抵ウェストランド、三菱に振ったキットばかりなので、このサイバー・ドラゴンに期待するところは大でした。ところが、御覧の通りシコルスキーとしての特徴は全てモデラーがフォローせねばならないというありさまです。予想はしていましたが…。
キットの組説の方は、シレっとウェストランド製向けのパーツをつけろと明確に書いており、これも噴飯ものだし、加えてアンテナや補器類に関しても概ねデタラメです。ちゃんとシコルスキー製にしたいなら、不要なモールドは全て取り除いた上で、Tacan、UHF、ADFなどの必要最低限のデティールアップはしておきたい。左舷側のアンテナコードはA,G,D,H各型で着地点が異なるので注意されたし。
←妙な出っ張りや不要部分は全て取り除き、キットにないアンテナ類を補足した裏側。キットのディッピングソナーのパーツは取付内部パーツの設計ミスで、下面に突出する部分が長く、うすらみっともないんで奥の側で切詰めた。また、排油ブームも形状と長さが気に入らなかったので自作に置換。右舷のホイストは良い出来だ。コイツはモロにブラスト被ってクソ汚くなってるので汚し好きには腕の見せ所だろう。
大昔、クルーに『なんで尾輪の圧、あんな感じなの?』と拙い英語で聞いた事があるが、ヘリ(特に艦上機)は着艦時のバウンドが事故につながるケースが多く、それが嫌われているからと言っておった…のを思い出し、尾輪はかなり下部を削ってみた。変な拘りかな?
写真では判りませんが、ローター基部にピッチコントローラーのロッドを追加しています。ヘリコプターでこれが無いとは笑っちゃいます…。
作例のHS-3トライデンツは1974年上期のマーキングで、001とSqCo機ながら一応CAG機とされている。
この少し前の状態だとテールブームのマルチカラー部は未だ描かれていません。キットの指示と違い、その頂部がマルーンで塗られている作例の方が正しいのは既に述べた通りです。隊名レターは『HS-3』ではなく『HS3』と「ダッシュ無し」が正しく、キットのデカールは間違っています。ダメ押しにキットは6ケタの小さいBuNoがオミットされていて、作例ではフォローしています…まぁどうせ在っても空軍レターなら使わないので結果は同じだけど…。
余談になりますがHS-3は解隊されて現在はHSC-9がそのエンブレムと隊名を引継いでいます。
しかしまぁ~こうなると初回の排気口フェアリングの自作なんか序の口だったよ、このキットは…絶望的なまでに笑かしてくれたワ。
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総括。本キットは初見がHC.4とウェストランド・ヴァージョンでした。私はHC.4なぞ死んでも作らないので購入を見送っており、MAその他の記事で内容を把握するしかなく、嫌な予感を抱えながら、満を持してのType-D購入でした。予想は好ましくない方向で的中し、やはりインチキキットの烙印を押さざるを得ません。SH-3がマイナー機だから良いだろう?キットがあるだけ有難いと思え! そういう見方や価値観にも頷ける面は確かにあります…ですが、貴方は、もし店頭で
『32型の主翼に21型のカウリング、デカールは隼用部隊マークがセットされ箱には52型と銘打たれた』ゼロ戦のキット
が堂々と売られていたらどう思われますか?
およそこんなプラモデルが市場に出回って許されるのは昭和40年代までですよ。それだけ酷いものだというのを訴えておきます。その悲しみは、1/48ファントムⅡが4回で終わったのに6回にもわたって書き綴られることになってしまったこの製作記にも現れています。
こんな場末のブログでは、どれだけの関係者の眼にとまるかはたかが知れていますが、マイナーアイテムだからといって、こんな人を舐めたようなキットの開発/生産は、企業イメージやらプライドやらと照らしてもマイナスでしかありません。願わくば避けてもらいたい…、そう思っているのは私だけなんでしょうか?なにがスマートキットですか?片腹痛いですよ。
やる気が無いなら無理に出さなくて結構!私はそう思います。それがプロフェッショナルとして正しい態度ならば…ですけど。
折角出すんだし、手に取ってくれた人に喜んでもらいたいよな?…そう思う人はプラモ業界には居ないんでしょうか?
少なくともサイバーやドラゴン飛行機部門(?)には居ないみたいです…重ねて記すけど、このOutputでは、相手が銀行や官庁なら出入り禁止になります。そこまでが要求されない業界でぬるま湯につかってられる事を神に感謝しなさい。
懲りずに近々G型がリリースされる(NewToolと謳ってますが、何がNewなんでしょうね-笑-)そうですが、どうせ給油口の数をそのままとしたインチキでしょうから私は買いません。最後に『2010年宇宙の旅』にて終盤ボーマン船長(キュア・デュリア)がフロイド博士(ロイ・シャイダー)に投げかけた時の表情そのままで、
「さよなら サイバーのSH-3 … もう作ることはないでしょう…」 とつぶやいて本稿を閉めたいと思います。