最近のアバンは硬い話ばかりでしたので、今日は柔らかい話。遅ればせながら『アルキメデスの大戦』の感想です。原作の漫画は読んでいませんので『何でアルキメデスやねん!』という疑問を晴らす意味でも、観に行ったのは公開初日でしたが、もうこの時期ネタバレは気にしないでよろしいでしょうし…。
どうして中々観応えありましたヨ。奇抜で面白い内容でした。(拙ブログではしょっちゅう申してますが)ともすれば『形而上物や論理・数理に弱く"目に見えるモノ"に騙されやすい』日本人に、ある種の警鐘を鳴らしている作品ともいえ、この時期相応しい名作になっていると思いました。アルキメデス…というのも何となく『嗚呼、大和が黄金の冠ってことか?』と自分なりの解釈ですが納得した次第…。 もちろんフィクションでして、当時の日本海軍提督らに妙な『キャラ立ち』脚色を加えてる等、多少の不満はあります。例えば、山本さんは好戦的であんな色めき立った顔で真珠湾攻撃を発案してはいない筈、これには堀さんや米内さんに宛てた手紙という物的証拠があって完全に矛盾するのですが、まぁ許容範囲でしょう。
本作は漫画が先にありますし、拙ブログを好きで覗きにいらしてる方にはクドイ説明は要らないでしょう。『パラメータ1個でそんな簡単に船の建造費(見積もり)金額が出せりゃ~苦労はせんわ!』というデタラメな関数が登場したりいたしますが、そこはそういうもんだ、それが出来るから天才設定なのだ!ということで目を瞑るのが正しい鑑賞態度です。
本作は漫画が先にありますし、拙ブログを好きで覗きにいらしてる方にはクドイ説明は要らないでしょう。『パラメータ1個でそんな簡単に船の建造費(見積もり)金額が出せりゃ~苦労はせんわ!』というデタラメな関数が登場したりいたしますが、そこはそういうもんだ、それが出来るから天才設定なのだ!ということで目を瞑るのが正しい鑑賞態度です。
--- 因みに我がIT業界、COCOMOとかFPとか見積もり技法がありますが、たった一個どころかパラメータは山の数…。見積もりの正確さは成否を分ける重要ごととなっています。---
本編もさることながら、見逃せないのは冒頭10分足らずの『大和沈没シーン』でしょう。僕は戦艦大和・武蔵が大嫌いなので胸が弾んだよ(笑)。過去にあった著作等の言葉を借りれば、これは『帝国海軍の葬式』だという戯けた例えがありますがとんだお笑い草です。単なる屠殺場…、そこに感傷や感動などというヤツは人でなしですよ、罪もない3000余名が集団処刑にあったようなもので単なる悲劇なんですから。ここに『美』や『徳』なんかありはしません。僕は、そう思いたい人は偽善者だと断じます(要するに「死」というものにリアリティを感じていない証拠だからです)『見たくないものは見ようとしない』欺瞞があるだけです。『英霊』なんて言葉も虚飾で、死んでいったクルーは、大日本帝国の戦争指導者達のハナクソみたいな見栄の純粋な『犠牲者』で、本来なら死なずに済んだ人たちなのですから…。
それにしても雨霰と攻撃を仕掛けてくる我がアメリカ海軍のS2CやTBM(F)のCGは気合が入っていました。ここはその技術的見地から見応えがあります。おまけにPBYまで現れ、中々の圧巻でした。
それにしても雨霰と攻撃を仕掛けてくる我がアメリカ海軍のS2CやTBM(F)のCGは気合が入っていました。ここはその技術的見地から見応えがあります。おまけにPBYまで現れ、中々の圧巻でした。
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1944年秋頃から南太平洋上に突如現れ、その断末魔の日本帝国海軍・潜水艦部隊に止めを刺しに来た大型長距離哨戒爆撃機がこのプライヴァティア(PB4Y-2)でした。
製作開始が2017年1月だったから期間にして2年半ですか…、まぁ、予想に反して早くできたと個人的には思います。1日24時間プラモに割けるわけではないですからね…。それも、素組みではありません。我ながら良くやったもんだと自らに健闘をたたえたいと思います。
ま、こんなマイナー機作ったところで誰も褒めてくれないしね(笑)。
1. 垂直尾翼先端形状、並びにラダーの上端位置、側面形状修正。
2. 同ラダー別パーツ化、ヒンジ部修正。
3. エンジンカウルの全体修正→レジン複製。
4. 機首ERCOボールターレット並びに機首上面周り全面修正。
5. MPCターレット高さ修正と、1号基(前側)の位置修正(2mm後方にシフト)
6. 機首下面リトラクタブル・レドームの位置修正と形状補完(可動化)
7. ノーズギア周り、脚注部分を含む全体修正と自作。
8. プロペラ、車輪ハブ、タイヤ、M2バレルを別売りパーツで置換
9. 機体全面のパネルラインを自彫り。
10. 第1、第4エンジンナセル尾部形状修正。
11. ERCO両舷ターレット回転軸カバー修正。内部側壁自作
12. キャビン内電子機器自作(完成後は良く見えないんでこれは必須ではなかったが…)
13. 主脚室内部全面改修。また、第2、第3エンジンナセルの脚注関連部分を修正。
14. 全ナセルの排気系レイアウト改善。エキゾースト・パイプ自作。
15. カウル・フラップ開状態化のため自作。
16. 脚室扉の修正と自作
17. アンテナ類の追加
18. 翼端灯、尾灯追加
19. ピンナップのデカール自作
塗装はUSNのWWII中期標準迷彩のトライカラード・スキームであることは前回お伝えしました。Mrカラーの特色セットそのまま塗っていますが、デカール作業終了後、一旦3/4フラットクリアー処理をかましてから、ほぼ全面に退色表現を行いました。この処理は今で言うところのフィルタリングと同じ技法です。
僕はMiGとかファレホとか専用の塗料は(供給されなくなったら困るので)使いません。もっぱらハンブロール・エナメルを薄く溶いたものを使っています。ハンブロールだと乾燥後触っても落ちない(つかシンナーで拭いても落ちません)のでこちらの方が好きなのです。『ウェザリング警察』の論争に巻き込まれたくないので敢えて申しますが、これは『汚し』ではなく飽く迄も『退色表現塗装』であります。全くの我流なので多くは語りません(笑)。
今回細部を除いてスミ入れは殆どやりませんでした。米海軍のノンスペキュラー・シーブルーは短期間で直ぐ日焼けする傾向が知られており、側面色のIMブルーと同化したようになってしまいます。そこに至る中間期…というイメージに仕上がったと(勝手に)思っています。以前ヴェンチュラの時はやりませんでしたが、その時の反省も踏まえてですね…。
しかしまぁーこの塗装。以前のA-4Cの時も話しましたが『デジカメを騙す騙す!』中々、肉眼で見たイメージに撮影できません。
←この2葉…。
フラッシュ炊くとこのように真っ白けになってしまいます。南方の強い日差しの中、実機が恐ろしく明るく映ってるのも同じ効果なのかな?とも思いますが、それをそのまま模型に表現すると『あ、バーリンデンだ!』になってしまうわけで、難しいものです。念のため申しておきますが、作例はこんなに白くなっていません。悪しからず(笑)。(後続の細部接写画像も同様フラッシュ炊いてるスナップです)
モデルはVPB-121の有名機"ABROAD for Action"(59450)ですが、全体の迷彩パターンについては資料がありません。PB4Y-2および-1のパターンは4つくらい細かい差異があるのですが、不明なところは他のVBP-121所属機のそれに倣いました。スピナーの色も推定です。
ピンナップ・ガールも有名なヴァルガスの元画があり、実機はその模写ですが、その通り再現してしまうと『ヘタクソな絵だなぁ~』となってしまうんで、ヴァルガスの原画をそのまま使って自作しています。同じ理由で『手描き感満載』であるモデックス(つかこの時代はBuNo下3桁)&スコードロン・レターもデカールを使っています。実機の書体はもっと乱れているのです。それを忠実に再現しても作品として誤解されてしまうので仕方がないフィクションですよね?
余談になりますが、本機が所属のVPB-121がPB4Y-2を運用開始したのは1944年も押し詰まってからで、暫く内地で訓練したのち翌1月からハワイ、ミッドウェイ、マーシャル諸島海域、テニアン、硫黄島に展開しています。ですから哨戒/爆撃も鼻歌混じりだったかもしれません。
自作デカールの"ABROAD~"の方はトリミングが難しい大きさなので、クリアーデカールに反転印刷したものを一旦別のクリアーデカールに転写し(つまり2枚重ね)ているという製法を採らざるを得ず、ご覧のように近くで見ると境界が判ってしまいますが、まぁよく見ないと判らないレベルなのでご愛敬とさせていただきます。これを手描きできるようになりたいですねぇ~。
赤い字で注釈が入ってる画像に関してはキットに入っていないなどの理由で追加したアンテナ等々の説明です。
本アイテムは『元祖:電子戦用機』で今日のグラウラー、ポセイドンの始祖にあたる存在ゆえに、アンテナの再現は必須です。ただ、BuNoによっては有無が異なりますのでその辺りも忠実に追っています。顎下の大きなレドームは本機の場合未だ装備されていませんでした。
唯一、心残りは舷側ERCOのターレットを可動にできなかったことです。
理由は、前後方向に旋回する銃身2本が曲者で、スリットをスライドする防弾版がありまして、これが銃身と同期して動かせないといけません。1/72では困難極まりますので、諦めざるを得ませんでした。しかるに銃身は安全位置固定となっています。
安全位置固定と言えば、このプライバティアに限らず、殆どの回転機銃座を持つ米軍機は、自機の尾翼やらを撃ち抜かないように簡単な電子回路で制御しているんですよね。そういうとこが貧乏くさい日本&ドイツ機と違うわけです。プライバティアの場合上面のMPC2基と側面のERCOにも当然装備されています。写真で銃身を後ろへ向かせてるのは、この位置だと(ラダーやターレットを撃ち抜いちゃうので)発射されないからです。銃のセーフティと同じ理屈で駐機状態の場合は、米軍機はたいていそのようになっている筈です。舷側ERCOは水平なので正しくは発射できる位置(この辺エレベータの下げ位置とかも連動する仕組みだそうです)ですが、準安全ポジションということで、電源入っていなければ動作しませんからこれはこれでOKなのでしょう。
下面周りは大きな問題もなく、尾ソリが適当だったので銅板で自作した他は何もしていません。主脚室と外側のエンジンナセルの改修は以前説明したとおりです。
さて、当初はあまり興味のなかったアイテムでした…ってか知らない機体でしたが、赤い本を買い師匠の洗脳のおかげですっかり虜になったという経緯があり、マッチのキットを幸だか不幸だかレベル箱で入手し落胆し…から始まった本プロジェクトでしたが、こうして終わってみると感慨も一入です。
一仕事終わった時くらい夢見させてくださいよ(笑)。
◇
ともかくも、当面の「大物」が一個片付きました。長文読了頂けた方々には本当心より感謝を申し上げます。
ではでは…。