紫電改、A-7ともまぁまぁ順調であるが、米海軍中心の模型に特化したモデラーとしての発信…という当ブログの原点に則してたまにはNewcomerの紹介でもしましょう。
今回餌食となるダメ・キット、もといNewキットはお待ちかねホビーボスの1/48イントルーダー(A-6A)であります。最初に言っとくけど、恐らくはあまり良い評価にはならないだろうから、そういうの苦手な人は今のうちに他のブログなりサイトに脱出されることをお勧めします。
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ホビーボスがダメなのは今更判っていたことなので何で1万円越えの投資をして不幸を買うの?と思われるだろうが、知人のS君曰く、『ダメだけど何とかなんないかな?あれ』みたいなことをいわれたので、それならば…と云う次第。『鳴かぬなら私が鳴こうホトトギス』ってわけですよ…。12k程しました、高いキットだよ…Revellのが3個買える…。
ま、トムキャットと同じくらいイントルーダー・フリーク(てかグラマン・フリークか…)を自負する私ですから、仕方ありませんね…。
繰り返しになるが、ホビーボスがダメなのは同資本ブランドのトランペッター1/32のスケールダウンになってるからなので、そっちのダメさ加減は最新のモデルアート誌にレビューが載ってるから掌握できています。買わずとも概ね問題点は認識できてるんですが、万が一違う点が好ましい方に転んでたりしたら…って結局そんなことはなかったけどね。因みにMA誌における件の32の方はそれほど悪評価ではなかったでしたが、恐縮ながら、担当のライターさんは『嗚呼、関谷先生だったらやらないだろうな…』というミスを数ヶ所で犯しておられるので、正しいイントルーダー模型の合否を云々できる素養がありやなしや?といった感じだし、童○社とかイ○ターア○イドさんやら広告主へのあんな所がこんな具合で面倒を避けてるのかも?という想像も手伝います。さらには「やっぱり不人気機のキットの扱いなんざその程度なんだよなぁ~」という哀愁の思いも手伝い、今回のファーストインプレッションとなった次第…。
お見苦しいとは思いますが、僭越ながら僕の過度なイントルーダーへの愛情表現だと我慢して暫しお付き合いください。
1/32と同じく1/48もA型からの発売で、あったま悪いな~中国人…と思いながら徐に箱を開けると、以前トムキャットのときに感じたデジャブが蘇ります。パーツ状態で眺めてる分には非常に和むんですよね、最近のホビーボスのキットは(笑)…。良くできてるじゃん…と思いますよ。思うだけなら猿でもできるんですがね…。表面が梨地なのはもう慣れたんでブツクサ言わないとして、まずは最重要ポイントのレドームからチェックいたします。
左右別パーツの貼り合わせで構成されるレドームパーツですが、『2006年頃から発表されてた試作品より改善されてんじゃないの?』というA-6プラモ雀たちの評価でしたが~、当初の印象だった「フジミのスケールアップかよ?」感は確かに払拭しています。でも僕には五十歩百歩ですよ。一見して違う形状なのは丸判りで、案の定、馬の背の高さが足りていません。『そ~じゃないんだってばよ!』って何回云わせんだよ!って感じです。
実機写真で判りやすいのを海軍のアーカイブから拝借して比較します。
←一目瞭然です(苦笑)。
馬の背が五合目から山頂にかけて足りず、一方で下部が尖りすぎ。+-してレドームそのものの高さは寸法合ってるぜ!主張ですか?ホビーボスさん?そういうの世間では辻褄合わせ、帳尻合わせって言うんですぜ…。
まぁゲテミ1/72や古のハセガワ1/72のフォルクスワーゲンlikeのボンネット感、タミヤ1/100の長っ鼻程酷くないにせよ、ハナクソ程期待してたからやっぱ残念…。
特に下部の尖り方は異様でして、ここすぐ後ろにノーズギア扉来るんだけど?と見ればドアの形状が悲惨なことになっている。実機はむしろ平版に近いのに、まるでスコップの様なありさまだ…。(写真は実機のラインとの比較)
←あまり好きな手段ではないが、レベルのキットとの比較。
レドーム分割線で一致する場所での比較で長さが一致するのは見事なのだが、仮説通り高さ不足(写真赤斜線部)、下部出っ張りすぎ…。
心配なのはこの下部出っ張りすぎの影響が下面に回り込んでるんじゃね?という事なんですが、やっぱり的中で、あの特徴的な窪みが一切合財実機とかけ離れていますね。ここは判断が簡単で、イントルーダーには防弾版が貼られているからその縁の曲率を見ることで検証できるのです。ってか実際実機に潜り込んだことがある僕には一目で判るワ、谷を構成してる曲線が逆湾曲になってるよ…舐めてんのか?ってなもんですよ。
一応比較写真も載せておきます。窪み方が足りてなさすぎ…。おそらく兵装ステーションの再現にもしわ寄せが来てる筈…。
おまけに防弾版は形状、前後幅ともに間違っていて、どういう取材が根拠なのか?を問いたい。小一時間問い詰めたい!入手可能な胴体下面写真なんて腐るほどあるのに…。
パーツ分割がレベルやハセガワ、そしてイタレリまでもが倣ってる方法でなく、このパネル貼りつけ式を採ったのならば、ちゃんとした策が打てたと思えるのだが残念であります。形状よりも、細部の彫刻のし易さを狙ったのだろうが、それらも実機と違うなら意味ないよ。
ここまでは基本形状に主眼を置いたチェックになるが、次はA型としてどうか?に迫りましょう。
ぱっと見A型(ってかB,Cなども含めA系)の特徴は、前脚扉、内翼前縁形状、胴体スピードブレーキの状態…。といったところ。あと、AFC改修/未改修に関連する細部の変遷をどうフォローしているか?であるが、実に『空のM4シャーマン』と云われる所以である(って勝手に僕が思ってるだけか?)。古い航空ファンの記述がネタ元なのだろうけど確か河野御大だったかが翼端ブレーキのない初期型が240機あると明言されてますが、ここはのちのちの石川先生取材でフォローされてましたが、NPE(海軍予備評価試験)での指摘事項として早々に問題が挙げられ21号機(第4バッチ149935)からインプリメントされてる…てのが正解で、河野御大の152937から装備、それ未満の240機にはない…というのは誤解であろう。実際該当する機で装備されてる写真は山ほど見つかります。
まぁ機体個々の細部はモデラーの仕事で良いんだろうけど、今回のホビーボス。確かF-14Aのときも言ったけど、だったら標準的なAにしたいのか?それとも添付デカールのVA-115のBuNo155715(あるいはVA-35の152940)を間違いなく作れるようにしてあるのか?という方針ってかコンセプトってか全く曖昧になっています。この辺りはタミヤとかですと親切にフォローしてくれるよね?そういうのが全くない。結局はその程度の愛情なんですよ…。
おそらくラッパ/ホビボスの認識は、別パーツになっているレドーム、計器板、前脚カバー(?)、チャフディスペンサー(本キットはカバーだけ)そして主翼前縁のコマ変えってことでOK…って気分らしいが、その前脚カバーはAFC改修でTACANアンテナ付、あるいはTRAM以降の撤去後のレイアウトだし、チャフディスペンサーについてはフォローして欲しいところはその有無より近接するドップラーレーダーフェアリングの形状でありまして、キットのまま(カバーを被せる仕様)だと、ただの未装填機になってしまうだけだ。つまりA型といえば黒鼻、黒鼻といえばA-6Aという定番のフィニッシュは素組だと拝めないことになる訳です。
次に、穴が開いたエアブレーキパネルだけがセットされている半端仕様なため、VA-115にするならその廃止後の機体であることから、穴は全て塞ぎ胴体に接着後、面一に加工せねばならないし、VA-35なら---所属のCVW-9、エンタープライズ時代なんてA-1から機種改変した直後の頃なんで古い話だから資料が困るのだが、1968年初頭ということにすれば厚木に来ているから仕様を絞り込み可能---前脚カバーはTACAN装備、チャフ・フレアーディスペンサー未装備機になるのでドップラーレーダーのバルジは延長せねばならない(これは115も同じ)。といった感じで、これまたキット素組では出来ないという厳しいものだ。まぁ胴体形状がRevell並みでありさえしてくれればその辺りの事はOKとなりそうだが、そこを疎かにして『Detail凄いでしょ?』と云わんばかりのクソキットだから余計イラッと来てしまいます。総じて断ずるのは主義ではないが『これだから中国人の仕事は…』となりますよ。自分らで出来ないならメンモデルのT90戦車みたいなアプローチ採ればいいじゃんとも思いますが、そこがA-6たる不人気機の扱いなんでしょう。残念です。
キットに戻りましょう。
ちょと杞憂になるかもしれませんが、A型として内翼フェンスは正しい位置なものの、将来E型やボーイングウイング版が出ると仮定してちゃんと変更されるのかは聊か疑問です。要注意ですね。レドーム内部のパーツが供用枠ですけど、これ将来Eを出すとしてTRAMはどうするんだろうか?
また、VA-35、-115どっちにしてもフォーメーションライトがルミネセンス式になっているのでこれもA型ではありえないし(翼端にはデカールまで用意してて丸で解っちゃない)、当然主翼端の形状もA型とするには修正せねばならない。また御丁寧にCAINS以降のE型にしかない左舷後部のエア抜きが開口、しかも両舷にある(爆)ので塞がないと大昔の草刈健ちゃん作例になってしまいます。周りのパネルラインも不要…。同様の余計なパーツの接着指示が他にもあるが各自調べてください列挙は疲れます(溜息)。とどめは必然性を疑う不思議なギミックのAPUですが、こんな形状のRATつけたA-6の存在を僕は知りません。
このキットで唯一褒められる点が翼の折りたたみ機構でしょう。って組んでないからちゃんと組めるかは知りません。フラップダウンができるのも良いですね。ここだけ使ってRevellとニコイチ出来るなら存在価値は残りますね。高いコンバージョンパーツになりますけど…。
ラッパ・ホビボスはアーマメント・パーツが豊富なのはありがたいのですが、Mk82は相変わらず細い。他にクラスター爆弾、GBU-8、ペーブウェイ、Mk83(?)などがセットされています。組説にはGBU吊れると歌っていますがA型で誘導爆弾吊るしてるのは僕は見たことが無いです。これってデュプロイが1967年からだからあまり無茶しないように推奨しておきます(笑)。
あとM117が入ってるようにカラーガイドには印刷されていますが、パーツは見当たりません(Mk84ぽいパーツをそれとしていますが、明らかに形が違うだろ!)。見たことが無いといえば、MERはフルロード可能になってますが、内翼パイロンに装着する場合、前列内側は吊下禁止のデッドステーションですので、モデルアート誌1/32作例のように吊るすのは間違いです(どうしたんだMA、こういうのはMG誌の十八番だぞ?ダメなとこ真似てどうするのだ?)。A-6好きなら誰もが知ってる事ですが、佐竹さんやLouの扉絵なんかでも見受けられる程、頓着されない初歩的なミスなので、愛が足りない人はやりがちですね…、おざなりな展示機や、NATCのA2F-1時代のテスト機を除いては、僕は実機で見たことがありません~ってかマニュアルには禁止と書いてありますからね。良い子は真似してはいけません。
射出座席など小物の出来は素晴らしいのですが、返す返すも大事なのは本体だし…、ゴムタイヤ使うとか、見えないエンジン完全再現などの豪華さは一頃より影を潜めたのはどうなんでしょうか?それにA型ならGRU-5をつけてくれれば恐らく世界初…だったのに残念です(GRU-7が間違いという意味ではない)。エンジンで思い出しましたがRevellやキネティックで雑な表現だったノズルが別パーツ化されてました。これは個人的には大変うれしいです。
デカールは先に述べましたVA-35(塗装図通りの機体は見たことないけど…)と115でどちらも厚木でおなじみです。しかしながら例によってモデックスは書体が空軍になってる(32は外殻カットのみ空軍でしたから悪化してるんですね--笑--)し、グリーンは色調が違うので使う気にはなれません。それはそれで別売りデカールに任せておいて、やはりA型なら黒鼻を作れるようにしておいて欲しかったのですが、その辺りの機微を大陸文化に求めても期待する方が馬鹿…ってもんであります。まぁ派手さはないんですがね、黒鼻も…。
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総括すれば、キットとしては(組んでみないと判らない点は除いて)中の上といった所です。文句言ったノーズ形状もゲテミやキネティック程酷くはないし--実際殆どのメーカーがヘタ打つ平面形は悪くないんですよ--、作って色塗ったら多分イントルーダーにしか見えない…、気になるようなA-6マニアなら修正可能な範囲だと言っておきます(え?マジ?)。下面のクソ形状はもう見なかったことにしてそのまま組んでしまいましょう(投槍)。実機通りを狙えばスクラッチになってしまうし、苦労の割に目立つ効果はないでしょうから(苦笑)。いやいや、誤解しないでくださいね、僕的にはダメキットですよ(笑)。
実際の所80年代のRevellの対抗馬としてはそこそこでしょう(2014年を迎えようかって今それじゃ困るんですけど…)。世の中私ほどA-6に思い入れがあるモデラーなんて少ないから、最初からスジ彫りされてて、モールドかっちり、で動翼展開可能、折畳み可能ってだけでこっちを選ぶ人は多いと思いますし、それはそれで価値観の違いだから僕がとやかく言える筋合いはない訳です(空軍レターで素組の出鱈目なA-6Aの作例が乱造されるのは心苦しいですけどね…)。値段考えればダメキットだけどキネティックよりは全然良い出来です(笑)。
イロイロ書きましたが、本ブログでは『この似非A型キットでどうすれば黒鼻が作れるか?』アプローチでその内作ることにします。残りはまたその時に文句言うことにしてとりあえず、今日はここまで…。